「エスプレッソです。」

「エスプレッソです。」

 

と、小さな小さなカップが、カウンターから差し出されました。

その中には、黒いような茶色いような液体が、これまたちょろっと注がれていました。

私が気まぐれで初めて注文した、エスプレッソに対する第一印象は、そんなものでした。

 

もちろん少ないというのは知っていましたし、覚悟もしていました。

しかし、自分の想像していたそのさらに半分程度の量しかなかったことに驚き、同じ値段でマグカップ一杯のコーヒーが飲めるのに、とも思いました。

頼んでしまったものは仕方がないと、指の通らない取っ手を恐る恐るつまんで、おどおど上澄みをすすると、ガツンと、とにかく何かキツい味がしたのを覚えています。

舌に突き刺さるような強く濃い苦みと酸味。

飲み込んでも口の中にベットリとこびり付くような強烈さ。

どれだけ言葉をオブラートに包んでみても「美味しい」と呼べるものではありませんでした。

 

しかし、口の中の違和感を引きずりなが店を後にした瞬間、外気と口の中の空気とのコントラストが、コーヒーの香りをぐいっと、これでもかと引き立たせてきました。

びっくりして何度も何度も香りを反芻させると、コーヒーの様々な風味が、喉の奥や口の中から、永遠に鼻孔を楽しませ続けるようで、はあーっと息を長く吐くと、一人だけまだ、さっきまでのカフェに居るかのような感覚に包まれます。

感動のあまり、歩いた道を戻って、おかわりを貰ってしまいました。

なるほど、エスプレッソとは、コーヒーの香りの豊かさを凝縮した飲み物なのか。

そう感じたのを覚えています。

 

もし、まだ一度もエスプレッソを飲んだことが無い人は、一度思い切って飲んでみて欲しいと思います。

ミルクを注いだ飲みの物も美味しいですが、そのまま飲むとたまりません。

そして外を歩いてみてください。

コーヒー好きのあなたなら、きっと虜になります。

 

光安 鉄也

フクオカコーヒーフェスティバル実行委員会

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