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untitled-林 加代子

私はコーヒーの香りがとても大好きです。

 

なぜかというと、母の姉である私の叔母 さんは毎朝コーヒーを入れる事から 1 日が始まります。

子供の頃、母と妹と叔母の家に泊まりに行くと必ずその香りで目覚め、その朝がと ても好きでした。

 

母は私が 16 歳の時に亡くなり、今では叔母の家に泊まりに行く事もなくなりました が、コーヒーの香りが漂って来るたびに、その朝の事を思い出し幸せな気分にさせ てくれます。

 

初めて飲んだコーヒーは母と行った喫茶店のウインナーコーヒーでした。

 

上の甘いクリームが美味しくて、スプーンですくって食べたのを覚えています。 どちらも母との思い出で私には大切な記憶です。

 

父から母もコーヒーが好きだったぞと聞くと私がコーヒーを愛してやまない理由が ここにもあるんだなと思いました。

 

林 加代子

「なぜコーヒーは人の記憶を呼び起こすのでしょうか。 秘密は香り、味わい、それとも入れる人? そんなことを考えさせられるエッセイでした。

藤原 智美 ( 第 107 回芥川賞受賞作家)

フクオカコーヒーフェスティバル実行委員会

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