アラジンのストーブの上で
アラジンのストーブの上でシューシューとやかんが音をたてる。ガリガリガリ…と手動のミルで豆を挽く父と、部屋いっぱいに広がるコーヒーの香り。
ミルを固定したテーブルはギシギシ言って、豆の欠片もそこいらじゅうに飛び散る。けれど、それらも含めて父と母が楽しんでいる様子は、まだコーヒーを飲めない幼い私にも伝わってくる。幸せな、休日の朝。
昨今のコーヒー人気には驚かされます。ことに福岡を中心とする九州では、若い世代を中心にコーヒーの虜になる人が、たいへんな勢いで増えていることを、このフェスティバルを通じて知りました。
私はガラス張りのおしゃれなカフェで、テーブルにコーヒーをおいて、原稿を書いたり本を読んだりして過ごすことがよくあります。仕事で重宝に利用しています。
しかし好きな店というと、やはり店員さんが手であたたかいコーヒーをていねいに淹れてくれる、こぢんまりした店です。そこにはたいてい人をホッとさせる空気が流れています。そして、静かな話し声が聞こえてきます。そこにやわらかな人のつながりがある。それがいいのです。
コーヒーはその味わいとともに、人と人とをつなぐコミュニケーションの役割を担っている。今回応募されたエッセイを読むと、そのことを深く感じました。
読ませてもらった作品には、文章のでき不出来はあっても、すべてコーヒーを通じた人とのつながりの楽しさ、思い出がにじみ出たものばかりでした。
また来年もぜひ、そんな作品と多く出会えることを願っています。
藤原智美 (第107回芥川賞作家)
アラジンのストーブの上でシューシューとやかんが音をたてる。ガリガリガリ…と手動のミルで豆を挽く父と、部屋いっぱいに広がるコーヒーの香り。
ミルを固定したテーブルはギシギシ言って、豆の欠片もそこいらじゅうに飛び散る。けれど、それらも含めて父と母が楽しんでいる様子は、まだコーヒーを飲めない幼い私にも伝わってくる。幸せな、休日の朝。
コーヒーや喫茶店・カフェにまつわる「思い出」や「エピソード」を400字詰原稿用紙2枚(800字以内)の文章で募集しております。
[選評者] 芥川賞作家 藤原 智美 氏(福岡出身)
当日会場にて展示、発表致します。どしどしご応募下さい。
大賞に選ばれた作品は、景品をお送り致します。
WEBからの応募は以下のボタン先の受付フォームよりご応募ください。
※応募受付は10月2日(火)迄となっております。沢山のご応募お待ちしております。
郵送でのご応募も受け付けております。
〒812-0025 博多区店屋町1-20 ブラジレイロ内
フクオカコーヒーフェスティバル思い出係
までご応募ください。